【2025年版】エンジニア向けAI用語整理ガイド

約21分で読めます

はじめに

最近のIT開発では「AI」「LLM」「エージェント」といった言葉が飛び交っています。この記事では、これらの用語をざっくり整理してみます。

ロボットと人間がホワイトボードの前で用語を整理している様子。フレンドリーな雰囲気で。


そもそもAIとは?

AI(Artificial Intelligence / 人工知能) とは、人間の知的な振る舞いをコンピュータで再現しようとする技術の総称です。

具体的には以下のような能力があります。

  • 画像認識(写真に何が写っているか判定)
  • 音声認識(話し言葉をテキストに変換)
  • 自然言語処理(テキストの意味を理解・生成)
  • 推論・判断(データから予測や意思決定)

ポイント: AIは非常に広い概念で、チェスを打つプログラムも、ChatGPTも、自動運転も、すべて「AI」です。

AIの様々な応用例(画像認識、音声認識、チャットボット、自動運転など)がアイコン形式で並んでいる図。


LLMとは?

LLM(Large Language Model / 大規模言語モデル) とは、膨大なテキストデータを学習し、人間のような文章を理解・生成できるAIのことです。

代表的なものは以下です(2025年12月時点)。

  • GPT-5 / o3(OpenAI)
  • Claude Opus 4.5 / Sonnet 4.5(Anthropic)
  • Gemini 3(Google)
  • Llama 4(Meta)

モデルとは?

「モデル」とは、学習済みのAIの「頭脳」部分のことです。

  • 学習データ(インターネット上の大量のテキスト)を使って
  • パターンを学習し
  • 出力(回答や文章)を生成できる状態になったもの

同じLLM製品でも、複数のモデルが提供されています。

  • Claude: Haiku 4.5(軽量・高速)、Sonnet 4.5(バランス型)、Opus 4.5(高性能)
  • GPT: GPT-5 Mini(軽量)、GPT-5(標準)、o3(推論特化)
  • Gemini: Flash(高速)、Pro(標準)、Deepthink(推論特化)

モデルの性能は重要

「とりあえず動けばいいや」ではなく、適切なモデル選択が重要です。

理由は次の通りです。

  1. 回答の正確性 - 高性能モデルほど複雑な質問に正確に答えられる
  2. コード生成の品質 - バグの少ない、保守しやすいコードを生成
  3. 指示の理解力 - 曖昧な指示でも意図を汲み取れる
  4. コストとのバランス - 単純なタスクには軽量モデル、複雑なタスクには高性能モデルを使い分ける

脳のアイコンが小・中・大の3サイズで並び、それぞれのメリット・デメリットを示す図。軽量=速い/安い、高性能=正確/高コスト のイメージ。


AIエージェントとは?(IT開発における)

AIエージェント とは、LLMが「ただ質問に答える」だけでなく、自律的にタスクを実行できるようにしたシステムです。

LLMとAIエージェントの違い

観点LLMチャットAIエージェント
製品例Claude、ChatGPTClaude Code、Codex CLI
操作方法ブラウザで会話ターミナルで指示
ファイル操作できない(コピペで対応)直接編集・作成できる
コマンド実行できないGit、テスト、ビルドなど実行可能
使い方の例「このエラーの原因は?」→ 回答「このエラーを修正して」→ 修正完了

例えるなら、次のようになります。

  • LLM = 知識豊富な相談役(アドバイスはくれるが、作業は自分でやる)
  • AIエージェント = 仕事を任せられる部下(指示すれば作業まで完遂してくれる)

AIエージェントは、あなたのローカル環境(PC上のファイル、Git、ターミナル)に直接アクセスして作業できます。単なる「会話」ではなく、「実際のコーディング作業」を代行してくれるのがエージェントの強みです。

左側:LLM(吹き出しで回答するキャラクター)、右側:AIエージェント(ツールを持って作業しているキャラクター)の対比図。

注意:LLMチャットとAIエージェントは別物

「claude.aiのプロジェクト機能に資料を貯めておけば、AIエージェントでも使えるのでは?」と思うかもしれませんが、両者は別のシステムです。

項目LLMチャット(claude.ai等)AIエージェント(Claude Code等)
動作環境ブラウザ(クラウド)ローカルPC(ターミナル)
プロジェクト機能あり(ファイルアップロード、カスタム指示)なし(AGENTS.mdで設定)
チーム共有プロジェクトを共有可能Gitリポジトリ経由で共有

つまり、こういうことです。

  • LLMチャットのプロジェクト機能 → ナレッジ蓄積、チーム共有に便利
  • AIエージェント → ローカル環境で独立して動作、設定は AGENTS.md などで管理

それぞれの強みを活かして使い分けましょう。

左側にブラウザアイコン(LLMチャット)、右側にターミナルアイコン(AIエージェント)。間に「×共有されない」のマーク。それぞれの特徴を吹き出しで表示。

AIコーディングツールの3タイプ

実際の開発現場で使われるAIツールは、大きく3つのタイプに分けられます。

1. コード補完型(エディタ統合)

代表例: GitHub Copilot、Cursor

エディタ内でリアルタイムにコードを補完してくれるタイプ。タイピング中に次のコードを予測して提案します。

  • エディタ(VS Code等)に統合して使用
  • 入力中にリアルタイムで補完候補を表示
  • 開発者が主導権を持ち、提案を採用するか選ぶ

最近の進化: GitHub CopilotもCursorも「Agent Mode」を搭載し、複数ファイルの編集やPR作成など、より自律的な作業が可能になっています。

2. 自律開発型・同期(対話しながら進める)

代表例: Claude Code、Codex CLI、Gemini CLI

ターミナルで対話しながら、開発者が見守る中で作業を進めるタイプ。

  • ターミナル(コマンドライン)で動作
  • 開発者がリアルタイムで進捗を確認
  • 途中で方向修正や追加指示が可能
  • ローカル環境のファイルを直接編集

3. 自律開発型・非同期(タスクを任せて放置)

代表例: Devin

タスクを渡したら、完了まで自律的に作業を進めるタイプ。開発者は別の仕事をしながら待てます。

  • Slackやメールで進捗報告を受け取る
  • 完了したらPRを作成して通知
  • 複雑なタスクを丸ごと委任できる
  • 月額$500〜と高額だが、Goldman Sachsなど大企業で導入が進む1
タイプ代表例開発者の関与向いている作業
コード補完型Copilot、Cursor常に主導日常的なコーディング
自律・同期型Claude Code、Codex CLI見守りながらリファクタリング、バグ修正
自律・非同期型Devin任せて放置定型的な機能追加、調査タスク

なぜ「自律・同期型」が人気なのか?

現時点では、Claude CodeやCodex CLIのような自律・同期型が開発者に最も支持されています。その理由は主に3つあります。

1. 自社LLMとの最適な統合

Claude CodeはAnthropic製、Codex CLIはOpenAI製。どちらも自社で開発したLLMを自社でラッピングしたツールです。

  • モデルとツールが一体設計されており、チューニングが最適化されている
  • コードベースの理解力が高く、大規模なコンテキスト(Claude Sonnet 4.5は最大1Mトークン)を活かせる
  • 一貫した出力品質で、モデル選択の迷いがない

一方、CursorやDevinは複数のLLMを「間借り」して使うため、モデルとツールの統合度では差があります2

2. 非同期型はまだ発展途上

Devinのような非同期型は魅力的ですが、実際のテストでは次のような課題も報告されています3

  • 複雑なタスクの成功率は約15%程度
  • 不可能な解決策に何日も費やすことがある
  • 「ジュニアエンジニアのように扱う必要がある」(Cognition社の公式ガイダンス)

同期型なら、おかしな方向に進んでいればすぐに軌道修正できます。

3. 定額プランで始めやすい

サービス料金制限
Claude Pro$20/月5時間ごとにリセット
Claude Max 5x$100/月より多い利用枠
Claude Max 20x$200/月大量利用向け
Devin$500/月〜非同期で複数タスク

Claude CodeやCodex CLIは日次・週次の制限があるものの、定額で予算管理しやすいのも採用の決め手になっています。

3タイプのAIコーディングツールを図解。左から「補完型(エディタ内で提案)」「同期型(ターミナルで対話)」「非同期型(タスクを渡して放置)」のイメージ。


AIエージェントで知っておくべき用語

Claude CodeやCodex CLIを使う上で、以下の概念を理解しておくと便利です。

トークンとは?

トークン とは、LLMが文章を処理する際の最小単位です。

重要なのは、LLMは文字や単語をそのまま見ているわけではないということ。テキストは必ず「トークン」に分割されてから処理されます。

トークン化の仕組み

LLMは「よく出てくるパターン」をまとめて1トークンとして扱います。

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"running" → ["run", "ning"] の2トークン
"encoding" → ["encod", "ing"] の2トークン

「ing」のような頻出パターンは独立したトークンになります。これによりLLMは「ingは進行形や動名詞を示す」といった文法パターンを学習できます。

日本語の場合も同様に、頻出パターンでまとめられます。

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"プログラミング" → ["プログラ", "ミング"] のように分割
"人工知能" → ["人工", "知能"] または ["人", "工", "知", "能"]
"こんにちは" → ["こんにち", "は"] または文字単位で分割

ただし日本語は単語の区切りが曖昧なため、英語ほど綺麗に分割されないことが多いです。

言語による違い

  • 英語: 1単語 ≒ 1〜2トークン(頻出単語は1トークン、珍しい単語は複数に分割)
  • 日本語: 1文字 ≒ 1〜3トークン(ひらがな < カタカナ < 漢字の順で多くなる傾向)

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"Hello, world!" → 約4トークン
"こんにちは" → 約5トークン

日本語は英語より多くのトークンを消費するため、同じ内容でもコストが高くなりがちです。

なぜトークンが重要か

  1. 課金の単位 - 多くのLLMサービスは入力・出力のトークン数で料金が決まる
  2. コンテキストの制限 - AIが一度に扱える情報量はトークン数で制限される
  3. 処理速度 - トークン数が多いほど処理に時間がかかる

「Hello」と「こんにちは」がそれぞれトークンに分割される様子。英語は少ないブロック、日本語は多いブロックに分かれるイメージ。

コンテキストとは?

コンテキスト(文脈) とは、AIが現在の会話で参照できる情報の総体です。

以下のようなものが含まれます。

  • これまでの会話履歴
  • システムプロンプト(AIへの指示)
  • 読み込んだファイルの内容
  • 実行結果のログ

コンテキストウィンドウ とは、AIが一度に扱えるトークン数の上限で、主なモデルの値は以下です(2025年12月時点)。

  • Claude Sonnet 4.5: 1Mトークン(100万トークン)
  • GPT-5: 400Kトークン
  • Gemini 3: 2Mトークン(200万トークン)

この上限に近づくと、AIエージェントでは自動圧縮(compact) が実行されます(後述)。

注意: 公称値と実効値は異なることがあります。200Kトークン対応でも、130K程度で精度が落ちる場合もあります4

「コンテキストウィンドウ」を水槽に例えた図。会話履歴やファイル内容が魚のように泳いでいて、容量がいっぱいになると溢れそうになるイメージ。

WebSearch(ネット検索)とRAG

LLMの知識は学習時点で凍結されています5。つまり、学習データのカットオフ日以降の情報は知りません。

「最新の情報を調査して」の威力

同じ質問でも、聞き方で回答の質が大きく変わります。

聞き方回答の情報源
「○○について教えて」モデルの学習データ(古い可能性あり)
「○○について最新の情報を調査して教えて」Web検索結果を踏まえた回答(最新)

たった一言添えるだけで、AIはインターネットを検索し、最新の情報をもとに回答してくれます。

RAG(検索拡張生成)とは?

RAG(Retrieval-Augmented Generation) とは、AIが回答を生成する前に、外部の情報源から関連情報を取得して参照する仕組みです。

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従来のLLM:
  質問 → [モデルの知識] → 回答

RAGを使ったLLM:
  質問 → [外部検索] → [検索結果 + モデルの知識] → 回答

人間がGoogle検索をするように、AIもインターネットという広大な情報源を参照できるのです。

RAGのメリット

  1. 最新情報を反映 - 学習データのカットオフを超えた情報も取得できる
  2. ハルシネーション(嘘)の抑制 - 実際のソースに基づいて回答するため、でたらめを言いにくい
  3. 出典を示せる - 「この情報は○○から取得しました」と根拠を示せる

研究によると、RAGを活用することでLLMのハルシネーション(誤情報生成)を35〜60%削減できることが報告されており6、リアルタイムデータへのアクセスはAI活用において重要な技術となっています。

LLMが「脳内の古い知識」と「インターネット検索で得た最新情報」を組み合わせて回答を生成している図。Web検索のアイコンと脳が連携しているイメージ。

MCP(外部ツール連携)とは?

MCP(Model Context Protocol) とは、AIエージェントが外部ツールやデータソースと連携するための標準プロトコルです。

なぜMCPが重要か

Web検索(RAG)は「インターネット上の情報」を取得できますが、以下のような情報にはアクセスできません。

  • 社内システムのデータ(Salesforce、社内DB等)
  • 最新のライブラリドキュメント(公式ドキュメントの正確な内容)
  • ローカルの開発ツール(Git、Docker等との高度な連携)

MCPを使うと、これらの外部システムをAIエージェントに「接続」 できます。

種類使えるリソース
従来のAIエージェントLLMの知識、ファイル操作
MCP対応のAIエージェントLLMの知識、ファイル操作、外部ツール(Salesforce、Context7等)

実践例1:Salesforce開発での活用

弊社ではSalesforce開発を行っているため、Salesforce MCP7 が非常に役立っています。

従来のワークフロー:

  1. Salesforceの管理画面を開く
  2. オブジェクトやレコードを手動で検索
  3. 情報をコピーしてAIに貼り付けて質問
  4. 回答をもとにコードを書く

MCP活用後のワークフロー:

  1. 「取引先のカスタム項目一覧を調べて」と指示
  2. AIが直接Salesforce環境に問い合わせ、結果を取得
  3. その情報をもとにコードを生成

開発環境・本番環境のメタデータやレコードをAIが直接調査できるため、画面を行き来する手間が大幅に削減されます。

実践例2:Context7で最新のドキュメントを取得

LLMの学習データには「学習時点のライブラリバージョン」の情報しかありません。そのため、最新のAPIや非推奨になった書き方を提案されることがあります。

Context7 MCP を使うと、ライブラリの最新の公式ドキュメントをリアルタイムで取得できます。

シチュエーションContext7なしContext7あり
React 19の新API古いuseEffectパターンを提案最新のuseフックを提案
Salesforce API非推奨のAPIを使用最新の推奨APIを使用
新しいライブラリ「知りません」または古い情報公式ドキュメントを参照して回答

使い方の例:

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「React 19のドキュメントをContext7で取得して、
 新しいフォームの書き方を教えて」

これだけで、AIは最新の公式ドキュメントを取得し、正確なコードを生成してくれます。

MCPのメリットまとめ

  1. リアルタイム連携 - 学習データの古さを外部ツールで補完
  2. 社内システム活用 - Salesforce等の業務システムと直接連携
  3. 最新ドキュメント参照 - Context7で常に最新のAPI・ライブラリ情報を取得
  4. 作業効率向上 - 画面を行き来する手間を削減

MCPは「AIエージェントの拡張スロット」のようなもの。必要なツールを接続することで、AIの能力を大幅に拡張できます。

AIエージェント(ロボット)が複数のツール(Salesforce、Context7、DB等)と接続されている図。USBのように差し込むだけで使えるイメージ。

セッションとcompact(自動圧縮)

セッション とは、Claude CodeやCodex CLIにおける「1回の作業単位」です。

  • ターミナルでClaude Codeを起動してから終了するまでが1セッション
  • セッション内の会話履歴・コンテキストは保持される
  • セッションを終了すると、コンテキストはリセットされる(ただし作業履歴は残る)

セッションは「中断」しても再開できる

Ctrl+Cを押したり、ターミナルを閉じてしまっても、セッションは消えません。AIエージェントにはセッションを再開する機能があります。

Claude Codeの場合:

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# 最新のセッションを再開
claude --continue

# 過去のセッション一覧から選んで再開
claude --resume

--resumeを使うと、過去のセッション一覧がインタラクティブに表示され、矢印キーで選択できます。セッションごとに「サマリー」「経過時間」「メッセージ数」「作業していたGitブランチ」が表示されるので、どのセッションを再開するか判断しやすくなっています。

Codex CLIの場合(v0.30.0以降):

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# 過去のセッション一覧から選んで再開
codex resume

# 最新のセッションを再開
codex resume --last

再開時に保持されるもの

セッションを再開すると、以下の情報がすべて復元されます。

  • これまでの会話履歴(全メッセージ)
  • ツール実行結果(ファイル読み書き、コマンド実行など)
  • 使用していたモデルと設定

つまり、まるで中断しなかったかのように作業を続けられます。

よくある誤解:「Ctrl+Cを押したら全部消えてしまう」と思っている方が多いですが、実際にはセッションはローカルに自動保存されています。安心して中断してください。

compact(自動圧縮) とは、長時間の作業でコンテキストがいっぱいになると自動的に実行される機能です。

  • これまでの会話履歴を要約し、トークン数を削減
  • 重要な情報を残しつつ、新しい「圧縮されたコンテキスト」で会話を継続
  • 圧縮後は細かい会話の詳細が失われる可能性がある

セッション終了 vs 圧縮して継続:どちらを選ぶ?

シチュエーションおすすめ理由
タスクが完了したセッション終了クリーンな状態で次のタスクを始められる
全く別のプロジェクトに移るセッション終了前の文脈が邪魔になる
AIが混乱している・おかしな方向に進んでいるセッション終了リセットして仕切り直し
1つの大きなタスクを続けている圧縮して継続これまでの作業内容を覚えておいてほしい
関連する複数のタスクを連続で行う圧縮して継続前のタスクの結果を踏まえて次に進める
バグ修正→テスト→ドキュメント更新圧縮して継続一連の流れとして作業したい

Tips:

  • 重要な指示は AGENTS.md など永続的な場所に書いておくと、セッション終了後も引き継がれる
  • 圧縮が発生したことは通知されるので、必要なら手動でセッションを終了することも可能

コンテキストウィンドウが「いっぱいになった箱」→「圧縮されてスッキリした箱」に変わるビフォーアフター図。

AIエージェントの「メモリ」をどう管理するか

セッションが終了するとコンテキストはリセットされ、原則としてAIは白紙の状態から会話を始めます。では、プロジェクトの知識をどう引き継げばよいでしょうか?

AGENTS.mdは「意識づけ」に使う

AGENTS.mdには、毎回のセッションで必ず意識してほしいことだけを書きます。

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✓ 良い例:コーディング規約、アーキテクチャの方針、禁止事項
✗ 悪い例:全ての仕様書、過去の議事録、詳細なAPI仕様

注意: AGENTS.mdが大きくなりすぎると、AIの理解精度が落ちる「fading memory」現象が起きます8。目安として100行以下に抑えましょう。

知識は「docs/」などに外出しする

詳細な仕様や過去の決定事項は、docs/などのディレクトリに保存しておきます。

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docs/
├── architecture.md      # アーキテクチャ設計
├── api-specification.md # API仕様
├── coding-standards.md  # コーディング規約(詳細版)
└── decisions/           # 過去の技術的決定
    ├── 001-db-choice.md
    └── 002-auth-method.md

必要なときだけ @docs/architecture.md のように参照させれば、トークンを節約できます。

人間の「メモ帳」と同じ考え方

これは人間が仕事をするときと同じです。

  • 脳内(コンテキスト) → 今作業していることだけ覚えておく
  • メモ帳(docs/) → 詳細は書き出しておいて、必要なときに見返す

AIも同じで、全てをコンテキストに詰め込むのではなく、外部に知識を貯めておいて必要なときに参照するのが効率的です。

チーム共有には「ドキュメント蓄積」が不可欠

LLMチャット(claude.ai等)のプロジェクト機能は、ファイルをアップロードしてチームで共有できます。しかしAIエージェントにはそのような機能がありません。

チームでAIエージェントを活用するなら、以下のような流れになります。

  1. Gitリポジトリ内に知識を蓄積(docs/、AGENTS.md)
  2. コードと一緒にバージョン管理
  3. プルリクエストで知識の更新をレビュー

これが、AIエージェント時代の「チームのナレッジ共有」の形です。

「脳(コンテキスト)」と「メモ帳(docs/)」の関係図。脳は小さく、メモ帳は大きく、必要なときに参照する矢印。


まとめ

基本用語

用語ざっくり説明
AI人間の知的振る舞いを再現する技術の総称
LLM文章を理解・生成できる大規模AI(Claude、ChatGPT等)
モデル学習済みのAIの「頭脳」部分(Haiku/Sonnet/Opus等)
トークンAIが文章を処理する最小単位(≒課金単位)
コンテキストAIが参照できる情報の総体(会話履歴など)
RAG外部情報を検索してから回答を生成する仕組み
MCPAIエージェントに外部ツールを接続するプロトコル

AIエージェント関連

用語ざっくり説明
AIエージェントLLM + 自律的にタスク実行する仕組み
コード補完型エディタ内でリアルタイム補完(Copilot、Cursor)
自律・同期型ターミナルで対話しながら作業(Claude Code、Codex CLI)
自律・非同期型タスクを渡して放置(Devin)
セッションAIエージェントの1回の作業単位
resume中断したセッションを再開する機能
compactコンテキストの自動圧縮機能
AGENTS.mdAIエージェントへの永続的な指示ファイル

これらの用語を理解しておくと、AIツールをより効果的に活用できます!

「脳(コンテキスト)」と「メモ帳(docs/)」の関係図。脳は小さく、メモ帳は大きく、必要なときに参照する矢印。



  1. Hugh Son, “Goldman Sachs is piloting its first autonomous coder in major AI milestone for Wall Street”, CNBC, 2025年7月11日, https://www.cnbc.com/2025/07/11/goldman-sachs-autonomous-coder-pilot-marks-major-ai-milestone.html ↩︎

  2. “Cursor vs Claude Code: The Ultimate Comparison Guide”, Builder.io, https://www.builder.io/blog/cursor-vs-claude-code ↩︎

  3. “Devin AI Review: The Good, Bad & Costly Truth (2025 Tests)”, Trickle, https://trickle.so/blog/devin-ai-review ↩︎

  4. “LLM Context Management: How to Improve Performance and Lower Costs”, 16x Engineer, https://eval.16x.engineer/blog/llm-context-management-guide ↩︎

  5. “Knowledge cutoff”, Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/Knowledge_cutoff ↩︎

  6. “How to Prevent LLM Hallucinations: 5 Proven Strategies”, Voiceflow, https://www.voiceflow.com/blog/prevent-llm-hallucinations ↩︎

  7. “Introducing MCP Support Across Salesforce”, Salesforce Developers Blog, 2025年6月, https://developer.salesforce.com/blogs/2025/06/introducing-mcp-support-across-salesforce ↩︎

  8. “Context Rot: How Increasing Input Tokens Impacts LLM Performance”, Chroma Research, https://research.trychroma.com/context-rot ↩︎

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